今回は、2024年10月4日に日本公開したばかりの、
「ハウス·オブ·スポイルズ〜魔女の厨房〜」(原題 House of Spoils)
というアメリカ映画のご紹介をしたいと思います。
「面白い作品なのに…」
というのが映画を観たあとの ちゅう の感想。
なかなか良い作品と思っていたこの映画の評価が、ずいぶんと低いなぁと思っていたら、
ホラー映画の制作が多いブラムハウスの作品だったからなのですね。
ブラムハウスに詳しい方々で、
ホラーファンの方々が、
ホラー作品だと思い視聴された方が多かったのでは、と思いました。
ちゅうは、ホラーもサスペンスもどちらも好物なので良いのですが、
ホラー映画といわれて観たのなら、確かに印象が変わってきそうな作品ではありますから。
「全然ホラーじゃないし…」
という感じじゃないかなぁと。
ちゅう のようにブラムハウス作品とわからずに見るのではなく、
ブラムハウスのホラー新作を楽しみにしていた本物のホラーファンの方からしたら、
期待外れというのはわかるような気がします。
今回のハウス·オブ·スポイルズは、アマゾンあたりでは、
サスペンス、ホラーとの分類がされているのですが、
人を殺すシーンもなければ、残虐というシーンもありません。
ゴースト系、ワーム系の要素がありますが、気をつけるといえばそのくらいでしょうか。
ゴキブ◯は苦手な方も多いかもですから適当にはいえませんが、
ホラー要素あまり感じないんですね。
そして年齢制限等もない映画でもありますし。
だから、
ホラー映画という記載がなければ、多くの方に観て頂ける作品では、
と思った次第です。
なかなか面白いストーリー性を持つミステリー映画なので、
興味ある方は是非ご覧いただきればと思います。
評価点数以上に楽しめる作品だと思います。
🆘ネタバレ注意🆘
“料理はアタマでするんじゃない タマでつくるんだ”
マルチェロ·リッチというほぼほぼサッカー関係者みたいな名前のシェフがお客様の前で喋るセリフ。
本能的な(直感的)な言葉で弟子シェフたちを巧みに操る彼は、
極上の料理をつくる者は、いい食材と熟練した技術以前に、血に飢えた戦士であるべきだ、と言います。
そんなレジェンドシェフに7年間師事してきた主人公である女性シェフは、(名前は最後まで証されないので以下 主人公)
仕事を辞め、雇われシェフとして独立する旨を、ボスであるリッチに伝えます。
リッチは主人公の料理の腕前を最大限評価した上で、
主人公のことを、ボスの器ではない、と諭しますが、
彼女の決意は固く、
北部の田舎町の古い空き家から
彼女は新しいレストランのトップシェフとしてスタートすることになります。
田舎町のその物件に車でたどり着いた主人公は、辺りを見渡しますが、
ポツンと一軒家状態。
蔦が這う古い建物に、荒れ放題の庭。
古民家レストランっぽい雰囲気が漂っています。
建物の中に入ると中は暗いですが、レストランの備品なども見え
掃除さえすれば、古民家レストランして使えそうな感じには見えます。
但し、厨房に関しては想像通りの汚さなのですが、
彼女の表情から満足感も見て取ることができます。
店を持つ嬉しさなのでしょうか。
彼女は家の周りを散策していると、
自然の中に不気味な人影を見た気がしたのですが、
ちょうど彼女のビジネスパートナーのアンドレアス·ソルタニが物件に到着したところ。
もう一度、人影の方に目を向けてみるのですが、そこには誰もいませんでした。
店を始める主人公へのお祝い、とアンドレアス。
主人公がアンドレアスに連れられてきたのは、自然の中に建つ高級レストラン。
彼女の店作りの参考になりそうな場所で、彼女のバックアップを約束するアンドレアス。
業界に顔の広い彼は、既に彼女をマルチェロ·リッチの弟子として売り込んでおり、
近々レセプションを組んでいたりと順調に事が進んでいるように見えます。
彼女はアンドレアスに前のレストランのことを聞きます。
シェフが他の店に引き抜かれた、とアンドレアス。
前のレストランというのは、
アンドレアスがマグナス·ソムラットという料理人と組んで営業していたレストランのことで、
つまり、彼女がこれから開くレストランの前のオーナーのことでした。
マグナスは、彼女も尊敬するような有名な料理人でしたので、
自分の前のオーナーが有名なマグナスだと知りただただ驚くばかり。
そんな話をしていると、アンドレアスが待っていた女性ルチアが店に現れ、
やっと3人でおまたせの食事タイム。
ルチアは主人公の手助けになるのでは、とアンドレアスが呼んだ女性でした。
高級料理に舌鼓、彼女の店のスタートに祝杯を上げます。
帰り際にルチアが彼女の店で働くことも決まり、笑顔で解散した時には、
もう日が暮れていました。
レストラン兼自宅に一人で戻った主人公は、自分の寝室の整理に時間を費やします。
前の入居者マグナスが忘れていった料理ノートを見つけ目を通していると、
何やら扉が揺れるような音や風の音が…
音の出所が気になり、家の中を探し回ります。
真夜中に、昔の所有者であろう老婆(魔女?)の写真を見つけたりと収穫?もありながら、
開いていた窓を見つけ、しっかり閉め直し、
雨風がガラスを叩く音を気にしながらも、その日はベッドで眠りにつくことにしました。
翌日からは、見るからにやる気のなさそうな地元民アルヴィンが合流。
問題の厨房掃除や料理素材の買い出しが始まります。
アルヴィンはそういう雑用から調理の手伝いをこなす働き手として雇ったようです。(良いキャラです👍)
厨房から出てくるゴミの中からうじ虫が出てきたり、
ゴキブ◯(以下 G)が走り回ったりと環境がとても悪いですが、
掃除を終え厨房を整え、やっと料理をする環境が出来上がります。
レセプションを間近に控え、料理の準備仕込みを初めるのですが、
焼いたパンに G が沸いたり、食材にカビが生えたりと衛生面で大苦戦、
レセプション用の食材を全てダメにしてしまいます。
アルヴィンに至急で、食材の買い出しのために市場に向かわせたのですが、
日曜日で市場が休みだったために、
スーパーで買い物を済ませてきた強者アルヴィン。
主人公はアルヴィンが仕入れてきた普通のスーパーの食材を使い、
料理人としてメンツの立つ料理でレセプションを乗り切ることにはなるのですが、
最低限のメンツをなんとか保てるレベル。
アンドレアスも当然落胆。
思い通りにいかないスタートに主人公は苛立ちを見せ初めます。
更に手直しをして整備していた庭もウサギに荒らされイライラはMax、
夜中に包丁を持ってウサギを追いかけ回す彼女は、
ウサギに導かれるように、
古い金属製の門扉に囲われたエリアの中へ入って行きます。
門扉の中は見たこともない植物に満ちた農園の跡地でした。
湿度が高そうで虫がウジャウジャいそうな異質な空間ですが、
ハバネロのような赤い実に目を惹かれ、その実を手にとると、
その実から虫がウジャウジャ出てきて、驚きからその場で主人公は転倒してしまいます。
頭を打ってしまったのか、意識が朧げな中、何者かが近付いてくる気配。
輪郭を正確に捕らえられずも、魔女のような老婆が
“…大地の糧となる…”
という言葉を残したところで、目を覚ます主人公。
彼女は自分のベットの上で埃まみれ(泥まみれ?)で眠っていたようです。
既に厨房に入っていたルチアに呼ばれ、
同じく店に来ていたアンドレアスと面談。
今回のレセプションの失態で出資者から、シェフの交代を命じられた、
とアンドレアス。
クビを宣告された主人公は、アンドレアスに執拗に食い下がり、
なんとか2週間の猶予を貰うことになるのですが、
インパクトがありオリジナリティのある料理の開発に彼女は迫られることになります。
メニューの開発に没頭する主人公。
納得出来るものが何一つと出来ずに、時間だけが過ぎていきます。
イライラも募りルチアに辛く当たることもしばしば…
先日、例の農園の跡地から持ってきた見た目はハバネロ風な果実を手に取りじーっと見つめます。
意を決してその赤い果実を口にする主人公。
予想外の味覚を得たのでしょうか、それをむさぼり尽くした彼女は、
夜にも関わらず包丁を手に、魔女?の農園にいき、
数種類の草、花、実を採取してきます。
どれも予想外の味覚だったのでしょう、
それ以来様々な植物を採取、口にして、味覚、効用を調べて行きます。
(マグナスがノートを作ったように)
その作業の中で、魔女が使っていたであろうアトリエの発見、
そのアトリエからは魔女が書いたであろう植物に関する有用なノートの発見などもあり、
彼女は飛躍的に魔女の残した遺産を学んでいきます。
それからというもの彼女自身にも変化が現れます。
先ずは魔女に関しての見方の変化。
地元民アルヴィンに聞いても悪い噂しかない魔女でしたが、
彼女はこの農園を作ったであろう魔女への尊敬の念を強く持ち始めました。
その影響でしょうか、あれだけ敵意を剥き出しにしていた、
虫やカビを、共生していく者と捉えていくようになります。
又、一時険悪ムードになったルチアに対しても優しく接することが出来るようになっていました。
夢の中(現実かも?)で魔女が口にした
“(万物は)大地の糧となる ” という言葉を、
魔女から主人公への教えと考えるようになっていきます。
(G やカビだって大地の糧となる)
しかしながら彼女には、“副作用”らしきものも出てきていました。
副作用というのは、アルヴィンの云う魔女の悪い方のイメージの方。
彼女は悪夢や幻覚に悩ませられるようにもなってきます。
(植物に麻薬の成分があるのか、魔女の呪いのせいなのか)
2週間後のアンドレアスの追試試験は問題なくクリア、
アンドレアス曰く、
“別次元のうまさに到達” とのこと。
これを機にレストラン開店の準備が加速していきます。
夜、幻覚に悩む主人公は気分を紛らわすためにワインを探しに厨房に入ったところ、
厨房が荒らされていることに気づきます。
咀嚼音が聞こえる真っ暗な厨房の中、電気を付けても咀嚼音はやみません。
彼女は恐る恐る音の方に近付いていくと、
黒い革ジャンを着た男が背を向け食材を食い漁っています。
電気を付けても、声を掛けても貪り続けるその男の肩を恐る恐る叩いてみる彼女。
口を真っ赤に汚した男が振り向きます😰
主人公の叫び声で、アンドレアスが駆けつけ、
“マグナス ⁉ マグナス !”
アンドレアスは彼女の前任のシェフの名前を連呼していました。
救急車(警察?)に拘束され乗せられるマグナスと
近くで付き添うアンドレアス。
離れたところで主人公に事情を伝えるルチア。
マグナスはここのレストランのシェフをクビになったあと、行方不明だったとのこと。
精神を壊しており、
この辺りの森で暮していたのではないか、と予想していたようです。
前のレストランは、最初こそ順調でいたようですが、
マグナスが幽霊騒ぎで精神を壊してしまったと、ルチア。
主人公はその日眠りにつく前に、マグナスのノートがあったことを思い出し、
そのページをめくります。
最初の方は、自分のノートと同じように魔女の食材の研究ノートでしたが、
ページをめくっていくにつれ、奇妙な絵が増えていきます。
完全に精神を病んでいる人間が描く異常な絵。
主人公は、
自分の未来と現在のマグナスを重ね合わせるしか出来ることは無くなっていました。
魔女やお化け屋敷に囚われていると。
彼女が作ったメニューも、マグナスの狂人日記と一緒に
火の中に焚べて燃やしてしまいます。
しかしその後、魔女の反撃をくらいます。
主人公の前に魔女の亡霊(幻覚?)が現れ、最後には家を追い出されてしまいます。
“ fuckin’ witch ! ”
主人公の怒りの捨てゼリフに続いて、
魔女の農園に行き植物を根こそぎ荒らし、
完全に魔女と決別してしまう主人公。
翌日、
プレオープンの当日にメニューの変更を部下料理人たちに伝えます。
主人公は、この件で異を唱えるルチアをパワハラ、セクハラで怒らせ仕事放棄させます。
プレオープン初日の主人公の暴走を、アンドレアスも止められません。
アンドレアスはマグナスの事件を隠していた件で主人公に負い目もありましたから。
50名分の料理のメニューを当日変更して、
副料理長の役割をしていたルチアを追い出す無謀な彼女のやり方に
厨房は大パニックに陥ります。
悪いことは重なるもので、
主人公は包丁で指を切るという失態を起こし、
更に、
甲殻類アレルギーのお客様に甲殻類を出してしまい新聞沙汰まで起こしてしまいます。
この結果、スポンサーに見限られ、
アンドレアスの資金のみが頼りとなってしまいます。
翌朝、
メディア向けのプレオープンの日、ボスのアンドレアスは一大決心をします。
彼はルチアを呼び戻し、トップの権限を与えることにします。
つまり主人公をクビにする、と。
権限が剥奪される主人公は、地下にあるワイン貯蔵庫にいたアンドレアスに脅しをかけます。
武器はバール😱(蛇アニメでは最恐武器)
言葉巧みに主人公を宥めるアンドレアスは、隙を見て貯蔵庫から逃げ出し、
鍵をかけ主人公を貯蔵庫に閉じ込めてしまいます。
主人公は脱出を試みますが、
バールを持ってしても打ち破れない地下室。
それこそ八方塞がりかというこの時に、地震が起きて、
並んでいる棚がどんどん倒れてきます。
その倒れた棚の裏側に、人間一人が潜っていけそうな小さな隠し穴が出現します。
ロウソクで照らしてみると、横穴は奥の方まで続いている様子。
主人公は覚悟を決め、この一点に脱出を求めることにします。
前に前に進んでも終わりのない小さな穴。
どこまで続くのか不安に襲われたその時、
前方に、足裏から見える人骨が見えてきます😱
この人骨は、穴を堀ながら進み、ここで力尽きてしまったのでしょうか。
前後の向きを変えることも出来ないほどの狭い穴の中で、
急に息苦しさを感じる閉塞パニックに陥る主人公。
この状態で主人公は人骨(ミイラ)の方へ進んで行けるのか?
それとも後ろ向きで戻って行くのか?
この人骨は魔女なのか?
魔女は人間にとって良い存在なのか、
それとも恐ろしい存在であったのか?
彼女はこの穴から脱出し、又シェフとしてこの土地で暮らしていけるのでしょうか?
続きは是非映画でご確認いただきたいです。
※2024年10月現在 Amazonプライム会員なら無料で視聴することが出来ます。
料理、魔女、お化け屋敷、古民家?レストランの組み合わせがウリの「ハウス·オブ·スポイルズ」。
魔女の存在を曖昧にみせることで、ミステリー感を増長させています。
この辺りの種明かしがこの映画のストーリーを決めていくのですが、
ここでも少しネタをバラしていきますが、
witch hunt を扱う最近では珍しい映画かなぁと思いました。
最近の魔女、魔法のファンタジー映画では差別は見ても迫害ってあまり見てない気がします。
そもそも魔女本人は、
周りから魔女と呼ばれているだけであって、本人は魔女だと思っていません。
迫害の対象として魔女と呼ばれているだけで、
魔法を使える訳でもない、ただの人間。
いつまでも被害妄想を持ち続ける迫害する側の伝承物語。
そんなことを考えさせられた面白い映画でしたね。
主人公役のアリアナ·デボーズは、
2022年に公開されたウエスト·サイド·ストーリーのアニタ役でアカデミー助演女優賞を受賞した実力派女優。
元々ミュージカル畑の方らしいので、今回の映画を観ていても、
ポーズの一つ一つが決まっています。
そしてめちゃくちゃ男前。
有色人種、短髪に、中性的な魅力が加わる主人公役は彼女にピッタリな配役でした。
ウエストサイドストーリーのアニタ役の女優と最初に聞いた時、びっくりされられました。
雰囲気が違うので…
いろいろな役を高度なレベルでこなす女優さんですね。
彼女の記事を読んでいるとクィアと告白している方のようですが、
万人から愛される資質を物凄く感じる魅力的な俳優さんです。
個人的には短髪マッチョで、
可愛らしさからカッコ良さを披露してくれた今回の主人公役が好きですね。
ストーリー性の優秀さとともに、主人公の魅力的な人物像は、間違いなくこの映画のウリです。
彼女の喜怒哀楽が堪能できる「ハウス·オブ·スポイルズ」を楽しんで鑑賞していただきたいです。
そういえば、
冒頭に書いたホラーとブラムハウスといえば、
ちゅう のこのブログでも「ミーガン」というホラー映画を紹介したことがあります。
ミーガンはこのブラムハウスの作品の有名ホラー作品の一つですね。
来年、日本公開予定の ミーガンの続きものもブラムハウスの制作なので、
是非ともコチラもご覧になっていただきたいものです。
コメント