愛の選択

映画・ドラマ・アニメ

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戦争に翻弄される恋愛映画といえば、

タイトル曲も物語も物悲しいミュージカル「シェルブールの雨傘」

ウクライナが舞台で最近も話題になったソフィア·ローレンの「ひまわり」

ちゅうにとって魂の映画「ニュー·シネマ·パラダイス」

の3本が思い出されます。

シェルブールの雨傘は、戦争で引き裂かれた恋人(彼女は妊娠してた)が、

お互いが別々の家庭を築いた後に、偶然出会ってしまうシーンで終わる悲しい話。

Bitly

ひまわりは、戦争で戻ってこない夫をロシアまで探しに行くも、

(一時的に)記憶を失っていた夫は、別の家庭を築いていた話。

Bitly

ニュー·シネマ·パラダイスは、兵役で彼女と離れ離れ、そのまま音信不通。

恋に破れ仕事で成功するも、独身を貫き通す男の話。

Bitly

この三作品に共通するのは、

時代に流され、恋物語としては悲しく残酷な結末を見てしまうことです。

最近、この手の映画で、

三作品とは異なる展開を見せる映画を観る機会がありました。

今回はそんな映画「きみに読む物語」をご紹介したいと思います。


きみに読む物語 を視聴するに至った理由なのですが、

最近、タイムマシーンや時間移動の映画を観る機会が多く、

一分間タイムマシーン(6分の短編映画 )や、

きみがぼくを見つけた日

Bitly

といった良作に出会うことができました。

そんな中で、

きみがぼくを見つけた日 のヒロイン役、

レイチェル・マクアダムスには、登場シーンから釘付けにさせられ、

結局虜になってしまったのですが、

アクターが映画選びのファクターになり得る数少ない一人となってしまいました。

喜怒哀楽の表情をこんなに表現豊かに出来る女優を見たことがありません。(特に喜·楽)

そんなレイチェル·マクアダムスを調べていると、

ちゅうが以前見たことのある「アバウト·タイム」という映画があることにびっくり。

Bitly

というのは、

このアバウトタイム というメジャー映画も

彼女の多彩な表情を楽しめる作品だったとともに、

これもまた、

タイムトラベルの映画だったからでした。

きみがぼくを見つけた日 の好演が、

予算のあるメジャータイトル映画のヒロイン大抜擢に繋がったのかなぁ、

と思ったりしているのですが、

そんなことがあって、タイムトラベラーな彼女のことがますます気になり、

邦題からもパワーを感じる

「きみに読む物語」を観ることに決めたのでした。


きみに読む物語(原題 The Notebook)は、2004年公開のアメリカ映画。

Bitly

印象的な湖畔の夕暮れ。

次第に夜に飲み込まれていくような、曖昧になっていく赤と黒の世界の中を、

男がボートを漕ぎ、帰路を急ぐ。

ため息がでる程美しく、贅沢なトワイライトタイムを、

窓辺から眺める老婦人

この老婦人に、

「もう、休む支度をして」と声をかける召使い風の女性。

ここは湖畔の療養施設。

老婦人はこの施設の住人のようです

日にちは明けて、

赤い服を着たこの老婦人の元に、

一人の老人、デュークという男性が現れます。

部屋に籠りがちな老婦人に、物語を聞かせに来た、と言います。

乗り気の薄そうな老婦人に、半ば強引に物語を聞かせるデューク。

1940年の6月6日の祭りの夜の

ノア と アリーの出会いの場面から、デュークが読み聞かせる物語は始まりました。


ノアは祭り会場で、赤い服を着た一人の女性に一目惚れします。

ノアの友人フィン曰く、名前はアリー、17歳。

サマーバケーションで避暑地に滞在する金持ちの娘とのこと。

彼女に声をかけますが、相手にされなかったノアでしたが、

半ば強引にアリーとデートの約束を取付け、

後日友人フィンと映画館で、ダブルデートに成功。

二人きりになった真夜中の路上で、

決められたレールを進むアリーの身の上話を聞くノア。

自由に生きるノアは、

ビリー·ホリディ I’ll be seeing you を歌いながら、

静かな真夜中の路上で、

アリーをダンスに誘います。

アリーが恋に落ち

ノア と アリーが恋人になった瞬間でした。


順調に進むように見えても、ひと夏の恋であることに変わりはありません。

アリーの進学のこと、身分の違いを良く思わないアリーの両親(特に母)と問題は山積み。

しかし二人の恋はどんどん燃え上がっていきます。

ある晩、二人は古い廃墟で結ばれそうになりましたが(歴史のある有名な建物らしい)、

未遂に終わってしまいます。

アリーの両親が帰りの遅いアリーを案じ、警察に二人を探させている情報が入り、

アリーの家に車を飛ばして急ぎ戻る二人でしたが、

主に身分の違いから別れるようアリーを説得する両親。(特に母親)

それを別室で聞いていたノアは、住む世界が違うとアリーと別れる決意をするのですが、

納得できないアリーと大喧嘩をしてしまいます。 

翌日、別荘を1週間早く引き上げることを知らされたアリー

ノアと喧嘩別れで終わりたくない彼女は、

ノアの友人フィン“愛してる” という伝言を頼み、家へ戻っていきました。

ここまでの話を聞いていた老婦人は、完全に ノア と アリー に感情移入していました。

まるで自分ごとであるかのように…


別荘を引き上げ家に帰ったアリーに、残されてしまったノアは、

彼女に別れると言ってしまったことを悔やみ

その日から毎日アリー宛の手紙を書き続けます。(一年間書き続けます)

しかし、アリーからの返信はなく、無情にも時間は過ぎていきました。

そして、世界情勢も変化、

ナチスドイツ相手に、重い腰を上げたアメリカは、若者を戦場へ送り込みます。

その流れで、ノアも友人フィンと共に

パットン第三師団に配属され、ヨーロッパを転戦するのですが、

フィン はノアの目の前で爆撃を受け戦死

戦後、ノアは独りで故郷に帰ることになりました。


一方のアリーは、ノアとの別れの後、

親に決められたレールで大学に入学。

彼女が関わった戦争は、

大学3年生の時に病院でボランティアをしたことでした。

怪我をして戻ってくる帰還兵を見て、アリーは、

ヨーロッパに送られたであろうノアを思い出す日々でした。

しかし、

帰還兵の中に、家柄も良く、男前な ロン という若者がおり(超イケメンなフレーディ·マーキュリー風)、

ロン からの求愛で、アリーは恋に落ち婚約することになってしまいます。


戦場から、父が待つ故郷へ戻ったノアの方は、

地元の例の古い邸宅を購入していた父とともに、(住んでいた家を売却して資金調達)

その歴史ある邸宅の復興に力を注ぐことになります。

これが 父とノアの長年の夢であったようです。

その場所を復興させようと思う原動力は、

ノア自身の夢とともに、

アリーの存在がありました。

邸宅の改築許可を貰いに、チャールストンに滞在していたノアは、

乗っていたバスの車窓にアリーを見つけます。

急ぎバスを降り、追いかけたその先は、男(婚約者ロン)とキスを交わす

幸せいっぱいのアリーの姿でした。


それ以降のノアは、

何かが壊れたように、一心不乱に改築に励み、

改築が終われば、アリーが戻ってくると信じ作業を進めます。

そして唯一の理解者父を亡くし、更に鬱ぎ込み、

作業を黙々とこなし、歴史ある邸宅の再興に漕ぎ着けます。

新聞に邸宅再興のニュースが載るほどの偉業でしたが、

心あらずのノアは家を燃やそうと考えたり、

家を売ってしまおうと考えたり、

そのくせ買いに来た人には希望額でも売らないという狂人と化してしまいました。

家の前の湖畔でボートを漕ぎ、

夜は戦争未亡人を呼び寂しさを癒す、そんな毎日を重ねていきます。


結婚式を目前に、幸せに暮らしていたアリーは、

衣装合わせの時に、ノアが邸宅を再興したという写真入りの記事を目にして、

衝撃で倒れてしまいます。

迷いが生まれたアリーは、

結婚式を前に、やり残したことを片付けたい

そのために何日か出かけたい

と婚約者ロンに許可を得ます。

式に影響するものではないというアリーの言葉で、

快く送りだすロン

こうして夏の避暑地のバケーション以来の ノア と アリーの再会が、

近付いていきます。


ここで物語は一度中断

老婦人は、二人の再会の続きを聞きたがっていますが、

話し手デュークの方に、医者から呼び出しが入ります。

デュークは心臓に持病をもつようで、その検査をしていました。

つまり、デュークも、老婦人と同じくこの診療所の住人でした。

更に、老婦人(医者はハミルトンと呼んでいる)に物語を聞かせることの話題になり、

老婦人は認知症であること、

その認知症から記憶を短時間でも戻すために、

過去の実際の出来事を物語風に読み聞かせていたことが、分かります。

医者はデュークの読み聞かせを、無駄な努力と感じているようですが…


医者との面談を終え、読み聞かせを再会するのですが、

今度は、デュークの子供たち、孫たちが見舞いにやってきます。

一応初対面という体でハミルトン(老婦人)にも接するわけですが、

ハミルトンは自分のことを、アニーと紹介しています😲

ハミルトンが席を外した後に、デュークの子供が、

ハミルトンのことを母と話しています。

これらの会話から、

老婦人の名は、アリー·ハミルトン

聞かされてるアリーの物語は、老婦人アリー·ハミルトンの過去の話

そしてデュークと アリー·ハミルトンは夫婦

ということが分かります。


アリーはクラシックカーでノアの前に現れます。

いきなりの訪問で、久しぶりの対面で、

驚きで声にならないノア

二人は時間とともに打ち解けていきますが、

以前と違うのは、アリーは人妻。(アリー談)

過去の恋人であるノアには、これからは友達でいて欲しいと。

そんな話しや楽しかった昔の思い出話で夜を向かえ、

ホテルに帰るというアリーに、

明日連れて行きたいところがある、とノア。

翌日、約束通りやってきたノアを、

嵐が来る前にと、急ぎで湖畔に連れ出します。

沢山の水鳥に囲まれる二人を乗せたボート

夢みたい、とアリー

帰りに大雨に当たり、びしょ濡れの二人。

岸にボートが、着いた時、

どうして何の連絡もくれなかったのか、と問いかけるアリー

7年待っていた、とも。

ノアは、

365通の手紙を書いたこと一年間毎日手紙を送ったことを力説します。

そして未だに愛していることを伝えたところで、

二人には、歯止めなど効かず、

そのまま愛を確かめ合います。


手紙がアリーに届かなかった理由は何なのか。

アリーは、元恋人ノアを選ぶのか

それとも婚約者ロンを選ぶのか、

そして、

話し手デュークは、ノア なのか

それともロンなのか

老婦人アニー·ハミルトンは、記憶を取り戻すことが出来るのか

見どころ満載の「きみに読む物語」の続きは、

是非とも映画を観て確認いただきたいです。

Bitly


最初の方で書きましたが、

この映画も、アリー役のレイチェル·マクアダムスの魅力が詰まった作品といえそうです。

ノア役のライアン·ゴズリングとは撮影後に恋仲になったそうですが、

そういう予感を感じるシーンが確かにありました。

(水辺でアリーが “私は鳥よー”と、はしゃぐシーンとかw)

映画公開の頃の、歴代映画のベストカップルとか、ベストキスなんていう賞を貰っているのは、

今回映画を観て、とても頷ける話だと感じました。

撮影中の二人は、険悪なムードがあったという記事を読みましたが、

そういうマイナス面を払拭出来る実力が二人にあったから、

ベストカップル的な賞を貰えたのだと思います。

脚本の優位性ももちろんあったのでしょうけれど、

これからも追っかけていきたい実力ある俳優さんだと思いました。(どちらも)


そして、

年老いたデュークとアリーにも触れなければなりません。

結末は書いていませんが、

若い頃のアリーは、とんでもない選択を迫られることになります。

どちらを選んでも完全なハッピーエンドとはならなかったはずです。

どちらも落ち度など見当たらない好青年でしたから、

アリーは過酷な審判をくださなければならなかったのです。

だからこそ、

年を取り認知症になったアリーを、

自分の存在をも忘れたアリーを、

献身的に支えてくれるデュークが、

全力で愛してくれるデュークが、

アリーが選んだ人で良かったと思えるのです。

ベターな選択が出来た、と。

人生で一番苦しい選択に迫られた後も、

きっとデュークが、

落ち込むアリーを支えてきたのだろうと容易に想像できますから。

そういう意味で、

アリーはとても幸せな女性だったと、思うのです。

若者の恋物語の方に目がいきがちですが、

この物語の本体はデュークとアリーの方なんじゃね、と考えてみる中年 ちゅう でした。


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